その6 おいしくなーれ
時間をかける料理が多いことに、気がついた。
何でも、寝かせた方がおいしくなる気がするのだ。
例えば、餃子。夫の好物と言うこともあり、我が家の餃子は、改良に改良を重ねた力作(自称)である。
必ず入るのが、蒸し鶏を作ったときにでるスープ。餃子のためにまず、蒸し鶏を作るのだ。それから、干し椎茸の粉。野菜は、ゆでたキャベツと塩もみ白菜を半々。ニラは少な目に。あとは基本どおりの材料を、よーくこね合わせ、表面をぴっちり覆うようにラップをかけたら、最低半日、できれば一晩冷蔵庫で寝かせる。
ハンバーグも同様、夕食に出そうと思ったら朝にはしかかる。ポイントは、パン粉を牛乳に混ぜないで最後に加えること。小判型に作ったら、冷蔵庫で寝かせる。
唐揚げもしかり。我が家で唐揚げというと、塩+レモン、ごま+みそ、にんにく+しょうゆの3種類の味を一度に作るのだが、やっぱり朝つけ込んでおき、夕食時まで寝かせておく。ポイントは漬け汁につけた鶏肉をビニールの袋に入れ、空気を抜いて密閉すること。物の本によると長く漬けすぎるのは鶏肉のうまみが逃げると言うことだが、時間短縮で作った物はうちの面々には不評であった。
カレーの時は朝から鶏ガラのスープをとり、タマネギを飴色に炒める(最低30分!夏は、かなり過酷)ところから始まる。この夏は、スープをとったあとの香味野菜を、ホールトマトとともにミキサーにかけたものをスープに加えてベースにしたら、おいしかった!
ミートソースには、少量のデミグラスソースと蜂蜜が欠かせない。当日より翌日の方が、やっぱりおいしい。
という感じで、朝に材料がそろっていないと作れない料理が、たくさんさんある。
私の凝り性と、夫の肥えた舌(体ではなく、ね)の合わせ技で、結婚13年、今はこんな風になっている。
彼は自分で作ることはしないが、「これのみそ味が食べたいなぁ」とか、「もっとふっくらしてたらもっとおいしいだろうねえ」「これ、ニラが多い気がする」とか色々とご意見をくださる。ちょっといつもと違うことをすると必ず「いつもと違わない?」とチェックが入る。負けず嫌いの私は、何とか一口で「うまい」といわせたくて、試行錯誤を繰り返すことになる。
夫の好物を並べると、餃子にカレーにミートソース・・・となんだかお子さまメニューのオンパレードのようで恥ずかしいのだが、内容的には結構がんばってるのよ、と密かに自負している。
もちろん、毎日こんなにいろいろやってる訳じゃない。一応仕事もするし、子供関係のつきあいもあるので、ただの野菜炒めや、お肉のソテー、パスタなんて日もやっぱり多い。
考えてみれば、時間のかかる料理をするときは、リクエストがあるときはもちろんだが、どうも「逃避」したいときのような気がする。なんだか仕事に気が乗らないとか、チビを公園に連れて行くのが面倒だなあというときの、体のいい口実・・・。でも、それでおいしいもの(しつこいようだけど、自称)が食べられたら、御の字でしょ?と、開き直ってみたりして。
ところで私自身、たくさん眠らないとと調子が悪い。
子供が寝静まった夜に仕事をすることが多いのだが、12時を越えるともうだめ。頭の中はお布団のことでいっぱい、あきらめて寝床につくとなんて幸せ、と思う。
ふと気づいたのだが、ペットは飼い主に似るという。解釈を広げれば、料理も作った人に似てるんじゃないのかな?たくさん眠った私が、「おいしい」かどうかは謎だけど。
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